淡彩日記

餅つき 令和二年 年の瀬

2020年12月31日 / お寺のあれこれ

令和二年の年の瀬、12月30日11時より、小雪の舞い散る中、ちんどん祝餅つきの「かわち家」さんと一緒にもちつき大会を開催しました。かわち家さんには朝からお寺にお越しいただき、衛生面についても準備万端整えていただきました。掛け声に合わせて、子どもも大人も心を合わせてもちをつき、あんこときなこで美味しくいただくことができました。弘仁寺は今年で120年の節目を迎えましたが、今まで地域の中でも知る人ぞ知る場所でした。今回、初めてお寺に来られた方もいて、地域の子どもたちのために、思い出になるひとときを持てたと安堵しております。実施に向けて何度も協議を重ね、万全の準備を尽くしていただいた、かわち家さんのお力添えがあればこそ実現できました。深く感謝申し上げます。

古くから日本では一年に2回、盆と正月にご先祖様があの世から家に帰ってくると信じられてきました。
家に鏡餅をお供えするのは、鏡餅がご先祖様の帰ってくる場所だからです。お米が収穫できたことへの感謝祭がお正月です。(お盆は麦が収穫出来たことの感謝祭でそうめんをお供えします)私たちが普段「あたりまえ」だと思う暮らしができているのは、誰のお世話にもならずに、(人の世話にはならないと言う人がいますけれど…)自然とそうなっているわけではなくて、生まれる前からそうだった「あたりまえ」を、支えてきた沢山の人々の物語がそこにはあるわけです。目に見えないけれど、膨大な人々の歴史が、地域での暮らしの中に眠っているんです。年の瀬に、けやきの木をくり抜いて作った50キロの臼を地面において、熱いお湯で清められた白木の杵でペッタンペッタン餅をつき続けました。すると、小雪の舞い散る曇り空から暖かな陽光が差し込み、背中に温かい光を感じる瞬間がありました。お寺の仏様が喜び、土地の神様が喜んでいらっしゃるのかもしれないと感じます。

しばらくすると、また雪が降り始めました。子ども達は雪で大はしゃぎです。もちをつく音、子ども達の歓声が、地域に眠る先人たち、(血がつながっているかどうかではなく、お世話になったかどうかという意味での)ご先祖様たちのたましいを鎮(しず)める、鎮魂の音になったように感じます。

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