淡彩日記

月: 2023年5月

嫉妬と随喜(ずいき)その1

2023年05月31日 / 読める法話

私たちはやっぱり、自分が可愛いものです。誰にでも大なり小なりそういうところがあります。そして、そのこと自体が絶対にいけないというわけではありません。嫉妬自体は、心の自然な働きの一つだからです。

人間ですから、人生のある時期、自分のことにしか興味がもてず「人が善いことをするのを喜べなかったり、人の幸せを喜べない気持ち」つまり「嫉妬」の気持ちに振り回されてどうしようもなく、そんな自分が嫌になることがあるかもしれません。

ですが、私たちは、嫉妬心が自然にあると同時に「人の善い行いを喜ぶ気持ち、幸せを喜ぶ気持ち」を育てることができます。江戸時代まではそれを「随喜(ずいき)」の気持ちと呼んで大切にしていました。弘法大師は『十住心論』巻第九にて、「喜とは随喜(他者の善行を喜ぶこと)です。他者の善をみて自分のことのように喜ぶことをいいます。あらゆる人を平等に見て、嫉妬の心を離れるからです」とおっしゃっています。

善行とは、苦しみを減らしていく行いです。苦しみが少なくなり気にならなくなった状態を楽といいます。

あなたがもし、どうしようもないほど嫉妬に振り回されていると感じるとしたら、それは心の全体像を学ぶ時期がきているのかもしれません。倶舎論という仏教の基礎学では心の中に20種類以上の苦しみを増やす心(煩悩)があると説きます。それは誰にでも自然にあるのです。最初から煩悩が全然無い人はいないのです。そして20数種の煩悩の一つでも対処されないまま放置されていると、苦しみが減らずに心の中がいつもどんよりと濁ったようになり、いつまでも清々しくなりません。本来、仏教の教えは、そうした心の苦しみ(にごり)を減らし、心を清々しく明るくするために説かれています。

そのゴール地点が般若心経の教え、般若波羅蜜多です。ですが、いきなりゴールに行くのは大変ですよね。究極的には一切がみな空(くう)だとしても、いきなり空を体得するのは簡単ではありません。「嫉妬がやめられない」等、今の悩みに切実さと実体感がある間は、それを軽くする教えを学ぶところから始めてみましょう。弘仁寺での勉強会では、心を軽くする仏教の教えを初歩的なところから一つ一つ学んでいきます。

少しずつ心のねじ曲がりを正直に(まっすぐに)していき、心の中に隠していた思いを打ち開けていくにつれて、だんだんと人の善行を喜べない気持ちは治まり、人の善行を喜べるようになっていきます。

正直なところを打ち開ければ、私たちはみんな自分勝手な生き物なのかもしれません。人生を振り返ると、苦の減らし方なんて誰も教えてくれなかったような気がしてきますし、自然と苦を育てることばかりしていたような気がします。ですが、嫉妬するのにも、いつかは疲れますし、人の幸せを喜ばないのにもエネルギーがいるので、だんだん嫉妬するのにも飽きる日が来るでしょう。そうしているうちに、(人の幸せを喜ぶ)随喜の気持ちを育ててみようか、という気分になるかもしれません。随喜の種は私たちの心の中に確かにあります。随喜の種から芽が出て茎が伸び、いつか花を咲かせ、実をつける時がくるのを楽しみに待っています。今日もお読みいただきありがとうございました。

如意宝珠に願うもの

2023年05月30日 / 読める法話

想像してみてください。この世のどこかに確かにある、あらゆる願いを叶える大きな大きな如意宝珠に私たちは何を願うのかを。自分の幸せ?それとも、家族の幸せ?はたまた、愛する人の幸せでしょうか?

 この世に確かに実在する、如意宝珠よ、宝の珠よ。願わくは、過去、現在、未来、あらゆる場所のあらゆる時間に生きる、生きとし生けるもの全てに行き渡る功徳を雨のように平等に降らせてください。そしてその功徳によって生きとし生けるもの全てが、その在り方にあった智慧(変化を受け入れる穏やかさ)と慈悲(相手の苦しみを取って楽を与えたいという慈愛の思い)を得られますように。生きとし生けるものが皆、そして、あらゆる存在が皆、今日一日、誰からも声をかけられずとも、今日一日、誰からも褒められなくとも、今日一日、ただそこにいれたことは、それは幸せだと、感じられますように。 明日もまた、いろいろあっても幸せな一日になると信じて、穏やかなひと時をすごせますように。 今日もありがとうございました。

仏教のお話会のご案内:知らなかった煩悩の中身の話→6月10日13時から16時まで。会場→諫早市のカフェdacha68さん

2023年05月30日 / Uncategorized


「煩悩は勝手に自分でも気づかずに出てしまうもの」ということで、煩悩に気づいて、煩悩を治めていくお話をいたします。とても大事な話になるので、お時間ある方は諫早のdacha68さんに6月10日13時にお越しください。会費は3000円です。参加ご希望の方はdacha(ダーチャ)さんにお問い合わせいただくか弘仁寺にご連絡ください。

以下はdachaさんに作っていただいた今回の案内を転載します。

以下転載です。


住職との打ち合わせで、資料を拝見させていただきましたが、アニメ 鬼滅の刃でもよく使われているような言葉がここにあったりして、非常に興味深かったです。仏教用語で、捉え方が難しく感じる表現を住職があえて現代風に表現し直した言葉で、ゆっくり伝えてくださいますので、生きづらさや、生きにくさを感じる現代社会ですが、心の本質のお勉強として、ぜひ触れていただけたらと思います。

締め切りは当日の午前中まで可能です♪

【煩悩と向き合うコツとヒント】
〜煩悩は消すのではなく、向き合う〜
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6月10(土) 13時〜16時
参加費/3,000円〈資料付き〉
定員15名さま

会場

Dacha68(ダーチャ)
〒854-0006 長崎県諫早市天満町10−6

インスタグラム

https://instagram.com/dacha068?igshid=MzRlODBiNWFlZA==

お問い合わせLINE

https://line.me/R/ti/p/@009vhdas#~
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煩悩は消すのではなく、向き合うとしたら???

どんな風に、どうやって向き合うの?
という素朴な疑問が湧きますが、
住職にお尋ねしたところ

「煩悩はステレオの音量調整と一緒で、ボリューム調整なんですよ」と。


は、は〜ん なるほど!
ボリュームか〜! と、
一見わったようで、
わからないようで笑笑


そこで住職に、
「そもそも煩悩ってなんですか?」と、お尋ねしたいぐらい、

言葉では知ってるつもりだけど、人に説明できるかと言われたら、説明できない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

  
・煩悩ってなあに?
・煩悩の種類

など、
仏教ではどう言い表わしてあるのかなど、煩悩の本質を教えていただきます。

仏教はあらゆる人のために

2023年05月11日 / 行事案内, 読める法話

5月14日13時から、弘仁寺で「仏教勉強会:心を安定させ、前向きに生きるための仏の教え」という勉強会が開催されます。受講料は3000円(資料代込み)で、どなたでも参加できます。

今回は、勉強会で使用される「阿毘達磨倶舎論図記」という図表を紹介します。この図表は、大正時代に篤学の士である大塩毒山氏が製作したもので、仏教の基礎学30巻である「倶舎論」を一つの表にまとめたものです。大塩氏は難聴のために苦労しましたが、仏教を大学で勉強し、同じ難聴の方々が仏教の教えを理解しやすくなるようにと願い、この図表を作り上げました。この図表は、仏教の宇宙観、人生観、主要教理などを一目瞭然に示すもので、全長は2メートルにも及びます。寺の住職ではなく、一般の方がこの図表を作り上げたことは、仏教が決して僧侶だけのものではなく、あらゆる人のためのものであることを証明しています。

最近は、物事を簡単かつわかりやすく伝えることが流行していますが、流行を追っている間に時間だけが過ぎ去り、基礎からじっくりと学ぶ時間がなくなってしまうことがあります。仏教の基礎学は用語が多く、慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、たとえ10年かかっても学ぶ価値があるものです。

人生は確かに短く、そして先人の伝える教えは膨大です。私たちは焦って結果を出そうとして、応用編や実践編にばかり気を取られがちになります。それでも、「基礎ができれば完成できる」という希望を抱き、一緒に基礎からコツコツと仏教を学びませんか?

もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。

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